新庄内科クリニック

富山県富山市荒川の内科、アレルギー科、呼吸器科の新庄内科クリニック

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11月20日(水)は世界COPDデー(2024/09/24)

 2024年11月20日(水)は世界COPDデーです。これは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の研究と啓発に力を入れているGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive LungDisease (http://www.goldcopd.org))が主唱し、世界COPD患者団体連合会(InternationalCOPD Coalition(http://www.internationalcopd.org/))が協力する世界的なイベントです。
各国の医療従事者や呼吸器専門医とのパートナーシップのもとに、COPDへの注意を喚起するためのさまざまな活動が実施されます。

 今年の世界COPDデーのテーマは、“Know Your Lung Function"です。今年のテーマの目的はスパイロメトリーとして知られている呼吸機能検査の重要性を強調することです。
スパイロメトリーはCOPDの診断に不可欠な検査ですが、生涯を通して肺の健康を評価するためにも有用なツールです。
COPDの危険因子には喫煙以外にも様々なファクターが知られています。
ヒトの肺は胎児期から思春期にかけて発達しますが、この期間に大気汚染や呼吸器感染症などの侵襲に曝されると肺の発育が妨げられ、以後の人生で慢性の呼吸器疾患を発病するリスクが増します。
不幸なことに、呼吸器症状が出現する頃には既に呼吸機能のほとんどが失われています。
呼吸機能は肺の健康の予測因子だけでなく、全般的な健康状態の指標でもあります。
たとえ小さな呼吸機能の低下でも死亡リスクの上昇と関連しています。
生涯を通じて定期的に呼吸機能検査をすることはCOPDをはじめとする種々の呼吸器疾患の早期発見ばかりでなく早期治療に繋がります。

 




 COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は以前「肺気腫」や「慢性気管支炎」という名前で呼ばれていましたが、この2つの病気を包括して現在ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という病名が使われるようになりました。
COPD患者さんの90%以上に喫煙歴があるので、別名「タバコ肺」とも呼ばれています。
COPDは進行性で、息切れから日常生活に支障を来し、重症になると酸素吸入が必要になり、死に至ることもあります。
厚生労働省の統計によると2022年のCOPDによる死亡者数は16,676人でした(図1)。


 

図1

日本におけるCOPD死亡者数(1998-2022年)
 


 

(出典:厚生労働省 人口動態統計)




 COPDは昔、治療法のない病気とされていましたが、最近では研究が進み「予防が可能」で「治療が可能」な病気と位置づけられるようになりました。
治療の第一歩は禁煙ですが、気管支を拡げて呼吸機能を改善する薬物療法、呼吸筋や全身の機能の衰えを防ぐ運動療法などを組み合わせて継続することで、良好な身体状態を長期間保つことができるようになりました。

 最近、COPDと身体活動性との関係が注目されています(Waschki B, et al. Physical activity is the strong predictor of all-cause mortality in Patients with COPD: a prospective study. Chest. 2011; 140 (2): 331-342.)。
170人の安定期COPDの患者さんの日常生活での身体活動性を上腕に装着する加速度計(SenseWear)で計測し、活発(active)、座りがち(sedentary)、非常に不活発(very inactive)の群に分けて、前向きに4年間の死亡率を調査しています。
2で明らかなように、4年後の死亡率は活発(active)で0%、座りがち(sedentary)で9%、非常に不活発(very inactive)で31%と3群間で統計学的に有意な死亡率の差を認めました。
COPDでは身体活動性が運動耐容能よりも生命予後との関係が深いことが分かっています。
活動的な生活様式を目指した行動変容が大切です。


 


 

 それでは、身体活動性の量と強度のどちらがCOPD患者さんにとって大切なのでしょうか?
それに関して検討した臨床研究(Donaire-Gonzalez D, et al. Benefits of physical activity on COPD hospitalization depend on intensity. Eur. Respir. J. 2015; 46: 1281-9.)を示します。
図3で明らかなように、ゆっくりとした軽いウォーキングは歩数を増やすことによってCOPD患者さんの将来の入院リスクを減らすことができました。
この研究では、歩数を1日当たり1,000歩増やすことによって入院リスクを20%減少させています。
それに対して、高強度の速いウォーキングは歩数を増やしても入院リスクを減らせませんでした。
これから分かることは、ジムに行って激しい運動をするよりも散歩などの軽い運動を日課にすれば入院せずに自宅で平穏な生活を続けられる可能性が高まるということです。



 


 
 COPDは呼吸機能検査(スパイログラム)で診断できます。以下の3つの項目のひとつでもあてはまるようでしたら、お気軽に新庄内科クリニックへ受診してください。
 
□40歳以上でタバコを吸っている。または吸っていた。
□セキ、タンがしつこく続くことがある。
□階段を昇るときなどに息苦しいことがある。

 



 

医療 DX 推進体制整備加算に関する掲示(2024年6月)

当院では、令和 6 年 6 月の診療報酬改定に伴う、医療 DX 推進体制整備について以下の通り対応致します。

  • オンライン請求を行っています。
  • オンライン資格確認を行う体制を有しています。
  • 医師が、オンライン資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室又は処置室において閲覧又は活用できる体制を有しています。
  • 電子処方箋を発行する体制を有しています。
  • 電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制については、電子カルテメーカーと協議中です(令和 7 年 9 月 30 日までの経過措置)。
  • マイナンバーカードの健康保険証利用の使用に関して、一定程度の実績を有しています。
  • 医療 DX 推進の体制に関する事項及び、質の高い診療を実施する為の充分な情報を取得・活用して診療を行うことについて、院内の見やすい場所及びホームページ上に掲示しております。

新庄内科クリニック    院長

「アレルギーポータル」サイト

一般の皆様向けアレルギー疾患啓発動画集の公開について(2023/04/03)

 

日本アレルギー学会は、厚生労働省の補助金事業として運営する「アレルギーポータル」において、一般の皆様向けにアレルギーの各領域で関心が高いと考えられる基本的なテーマについて動画を作成し、「アレルギー動画集」(10コンテンツ)として3月27日に公開しました。

●「アレルギーポータル」アレルギー動画集(10コンテンツ
https://allergyportal.jp/knowledge/movie/

※「アレルギーポータル」トップページ⇨「アレルギーについて」⇨「アレルギー動画集」

動画コンテンツ(動画再生時間:3~5分)

  1. 赤ちゃんに湿疹が出たらどうする
  2. 食物アレルギーを防ぐには
  3. アトピー性皮膚炎のスキンケアと軟膏療法
  4. 小児の食物アレルギー
  5. 成人の食物アレルギー
  6. 花粉症
  7. 舌下免疫療法
  8. 金属アレルギー
  9. 薬物アレルギー
  10. アナフィラキシー

「アレルギーポータル」を活用することで、アレルギー疾患の予防・治療・管理に関する正しい最新の知識を身につけることが可能になります。

新型コロナウイルス(COVID-19)と喘息(GINA 2021):予防と治療(2021/04/05)

Global Initiative for Asthma(GINA)は喘息の国際指針として世界的に標準となっています。その、新型コロナウイルス(COVID-19)の章をみてみましょう。

【1】新型コロナウイルス(COVID-19)と喘息

1)喘息患者はCOVID-19に罹りやすいですか?重症化しやすいですか?
喘息患者はCOVID-19に罹りやすいとはいえず、システムレビューによれば軽症~中等症で喘息コントロールが良好であればCOVID-19重症化の証拠は示されていません。

2)喘息患者はCOVID-19に関連した死亡リスクが高いですか?
全般にコントロールが良好な患者はCOVID-19関連死のリスクは高くありません(Williamson, Nature 2020; Liu et al JACI IP 2021)。しかし、COVID-19による死亡リスクは喘息増悪で最近経口ステロイド薬服用した患者(Williamson, Nature 2020)や重症喘息のために入院した患者(Bloom, Lancet RM 2021)で上昇していました。

3)喘息治療で大切なことは何ですか?
良好な喘息マネージメントを継続することが大切です。具体的には良好な症状コントロールを維持すること・増悪リスクを減らすこと・経口ステロイド薬が必要になる状態を回避することです。

4)COVID-19流行中に喘息増悪が増えましたか?
いいえ。2020年には多くの国々で喘息増悪とインフルエンザに関連した病気が減少しました。理由は正確には分かりませんが、手洗い・マスクの着用・ソーシャル/身体的ディスタンスがインフルエンザをはじめとした呼吸器感染症の罹患を減らしたからかもしれません。

【2】新型コロナウイルス(COVID-19)と喘息 - 薬物治療

1)処方されている喘息治療薬、特に吸入ステロイド薬の服用を続けましょう。
重症喘息患者はもし処方されていれば生物製剤や経口ステロイド薬を続けましょう。

2)吸入ステロイド薬はCOVID-19感染を予防できますか?
入院治療を受けているCOVID-19に罹患した50歳以上の患者を対象にした臨床研究では、吸入ステロイド薬を使用している喘息患者は背景に呼吸器疾患のない患者と比較して死亡率が低かったと報告されています(Bloom, Lancet RM 2021)。

3)全ての患者が以下の内容を含む喘息アクションプランを記載された印刷物を持っていることを確かめましょう。
喘息のコントロールが不良になった際にコントローラーやレリーバーの治療を増やします。
重症の喘息増悪の際には、適切なタイミングで経口ステロイド薬を短期間服用します。

4)COVID-19感染が拡がらないようにできるだけネブライザーの使用は控えましょう。
生命に危険がおよぶ増悪を除いて、スペーサー付きのpMDIを使用して吸入しましょう。
必要であればマスクやマウスピースをスペーサーに取り付けましょう。

【3】新型コロナウイルス(COVID-19)と喘息 – 感染予防

1)COVID-19に罹っている、あるいは、疑われる患者、および、その地域でCOVID-19が流行している際には呼吸機能検査を避けましょう。
呼吸機能検査が必要な場合には、空気・飛沫・接触感染予防策を講じましょう。
呼吸機能の情報が必要な場合には、自宅で患者にピークフローをモニターしてもらうことを考えましょう。

2)飛沫が発生する医療行為が必要な場合には厳密な感染予防策を講じましょう(ネブライザー、酸素療法、喀痰喀出、人工呼吸、非侵襲的換気、気管挿管)。

3)最新の地域の情報を取り入れ、衛生管理や個人防護具の使用に関してはその地域の保健所の助言に従いましょう。

【4】新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンと喘息

1)喘息患者を対象にCOVID-19ワクチンは臨床治験を実施されていますか?
はい。多くのタイプのCOVID-19ワクチンが世界中で使われています。
しばらくすれば、喘息患者を含むCOVID-19ワクチンに関するエビデンスが発表されるでしょう。

2)アレルギー体質の患者にCOVID-19ワクチンは安全に使えますか?
通常、ワクチンに対するアレルギー反応は稀です。
ファイザー/ビオンテックとモデルナ製COVID-19ワクチンはアナフィラキシー反応が起こった場合に対処できる医療機関で接種すべきです。
これらのワクチンはポリエチレングリコールなどのワクチン含有物に対して重篤なアレルギー歴のある患者への接種は避けるべきです。
患者さんは、いつもどおり、気になることがあれば医療関係者にその旨を伝えましょう。

3)一般的なワクチン接種に関する留意事項があてはまります。
患者のワクチン含有物に対するアレルギー歴を尋ねましょう。
患者が発熱や他の感染症に罹った際には、それが治るまでワクチン接種の時期を遅らせましょう。

4)現在のところ、リスクとベネフィット、および、上記留意事項に基づきGINAは喘息患者さんにCOVID-19ワクチン接種を推奨しています。

5)COVID-19ワクチン接種と生物製剤
生物製剤とCOVID-19ワクチンを同じ日に投与しないようGINAは推奨しています。それによって、副反応がみられた場合にどちらの医療行為によるものかの鑑別が容易になります。

6)COVID-19ワクチン接種後
米国CDCは現在COVID-19ワクチン接種を2回済ませた後も人混みではマスク着用を続けるよう推奨しています。

7)インフルエンザワクチン
喘息患者は毎年インフルエンザワクチンを接種すべきです。
COVID-19ワクチン接種とインフルエンザ接種の間隔をCDCは14日間空けるよう推奨しています。

「アレルギーポータル」のご紹介(2020/02/25)

平成26年にアレルギー疾患対策基本法が成立し、平成29年に大臣告示された基本指針に基づいてアレルギー疾患対策が進められています。

「アレルギーポータル」のご紹介(2020/02/25)

この基本指針の第二(2)ケで、「国は、関係学会と連携し、アレルギー疾患の病態、診断に必要な検査、薬剤の使用方法、アレルゲン免疫療法(減感作療法)を含む適切な治療方法、重症化予防や症状の軽減の適切な方法並びにアレルギー疾患に配慮した居住環境及び生活の仕方といった生活環境がアレルギー疾患に与える影響等に係る最新の知見に基づいた正しい情報を提供するためのウェブサイトの整備等を通じ、情報提供の充実を図る。」と示されています。そのため、厚生労働省と日本アレルギー学会とが連携し、平成30年10月に「アレルギーポータル」というウェブサイトを開設しました(https://allergyportal.jp/)。このウェブサイトは厚生労働省補助事業「アレルギー情報センター事業」の一環として日本アレルギー学会が運営しています。

インターネットに限らず雑誌や書籍などにもアレルギー疾患に関する膨大な情報があふれていますが、出所が不確かな情報、古い情報、間違った情報なども含まれています。その中から信頼できる適切な情報を選択するのは難しい状況にあります。

「アレルギーポータル」を活用することで、アレルギー疾患の予防・治療・管理に関する正しい最新の知識を身につけることが可能になります。

セキと胃食道逆流症(GERD)(2018/01/09)

最近、胃食道逆流症(GERD)が長引くセキの原因の一つであることが徐々に明らかになってきました。また、喘息(BA)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった慢性呼吸器疾患の患者さんでGERDを合併しているグループはGERDの合併のないグループに比べてセキと関連した症状スコア(LCQ)が悪いばかりでなく、COPDのコントロール状態も不良であることが分かってきました(図1)。

図1
セキと胃食道逆流症(GERD)(2018/01/09)

(Shirai T, et al. Real-world effect of gastroesophageal reflux disease on cough-related quality of life and disease status in asthma and COPD. Allergol Int 2015; 64: 79-83.)BA:気管支喘息;COPD:慢性閉塞性肺疾患;FSSG:Frequency Scale for Symptoms of GERD(GERDの症状スコア、いわゆるFスケール);LCQ:Leicester Cough Questionnaire(咳の症状スコア);ACT:Asthma Control Test(喘息症状スコア);CAT:COPD Assessment Test(COPD症状スコア)。FSSGとCATは症状が悪いほど点数が高い。LCQとACTは症状が悪いほど点数が低い。

図1の説明:喘息ではGERDの症状スコアが高いほどセキがでやすい(有意な負の相関を認める);COPDではGERDの症状スコアが高いほどセキがでやすく(有意な負の相関を認める)、GERDの症状スコアが高いほどCOPDによる症状が強い(有意な正の相関を認める)。

セキと胃食道逆流症(GERD)については新庄内科だより(平成30年1月号)
にみなさまに有益な情報をお届けします。参考にしてください。